先ほど午後1時過ぎ、甲子園で広陵が常葉菊川を破って決勝進出を決めた頃、東京の気温は35度、東電が「今日の予想最大電力=6,000万kW」の前提とした最高気温に達した。ここへきてマスコミも「電力綱渡り」といった記事を掲げるようになったが、まだ深刻な危機感は拡がりに乏しい。
【写真】旭山動物園のホッキョクグマくん(2007.4.1)
今日、気温がさらに1度上がれば170万kWの需要増となるという。東電の供給限界は6,230万kW、発動されると17年ぶりという随時調整契約企業に対する電力供給停止(120万kW)と塩原発電所(90万kW)の動員を考慮しても、電力ダウンの危機は目前に迫っているというべきだろう。
最近、私の勤務先にほど近いところに、「東電さわやかケア荻窪」という高齢者介護サービスの事業所ができた。東電の「経営改革」に連なる新規事業と位置づけられているものと思う。こうした新規事業自体を批判するつもりはないが、今日のような恐るべき電力供給事業のピンチを考える時、東電の経営改革自体が上っ面だけのもの、東電という組織の根っこからの腐敗を隠すものといった感想を抱かざるを得ない。
1.今回の電力危機の原因となった柏崎刈羽原発の停止は、活断層の存在を「見落とした」ことから生じているといってもよい。・・・しかし、これは見落とした訳ではないだろう。安全よりも建設を優先させたということだ。
2.塩原発電所を停止するに至った数々のデータ改竄。その隠蔽体質。
そして、これは東電ではないが、同じ原子力発電事業という点で、1999年の東海村JCO臨界事故を思い起こす。あの事故では、裏マニュアルさえも逸脱して、放射能溶液をバケツで処理して臨界までいってしまった。社会の批判に内向きになり、ガチガチに堅めた組織の陰でとんでもない違法行為を繰り返す、そうした隠蔽体質は東電の幹部から現場の責任者に至るまでしみ通っているのではないか。
「隠すほどに現る」の格言どおり、不都合な真実はいずれ必ず暴露される。この間の状況を振り返ってみると、どんなに処分を行い反省を口にしてみても、東電の組織の腐敗が一掃されているとは到底言い難い。
まもなく午後3時、甲子園では準決勝の第2試合が中盤を迎えようとしている。電力がダウンすれば、こうした夏の楽しみが奪われるだけに留まらない。首都圏交通の全面停止、産業活動の停止、そして、住宅では電気がとまり、冷蔵庫の中では食べ物が腐敗を始めるだろう。この暑さの中では、高齢者がバタバタと倒れる事態になるかもしれない。
新しい酒は新しい革袋に、という西欧のことわざどおり、腐敗した東電という組織は、中も外もすべて入れ替えなければならぬ。そのように思う。
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