2月24日の書評(1)に対して、とむさんから頂いたコメントには、グーグルが現代においてもっとも怖い企業であるとした点に続けて「現状で趨勢である科学者グループ中心に構成されるグーグルのマインドセットが、間違ってもその興味や会社の方向性がファイナンスや企業投資などに向かって欲しくない」とあります。確かにそのとおりです。グーグルの「意思あるデータベース」をも実現するほどの技術が株式市場、債権市場、金融市場そのものに向かった時、どのような事態が生じるのか、実際のところあまり想像したくありません。
ところで、本書ではサーチ・エコノミーについても触れられ、スパム対策のための「ちょっとした検索アルゴリズムの調整」がたくさんのネット商店を破産に追い込んだエピソードが紹介されています。数日前のTV経済ニュースで日本のSEO(Search Engine Optimization 検索エンジン最適化手法)企業の活動が紹介されていましたが、グーグルを始めとする検索エンジンの変化するアルゴリズムをしらみつぶしに追いかけて仕事にするというのも、何かみみっちいような気がします。とは言え、他の方のお仕事にケチをつけても仕方ありません。
それよりも、本書で描かれたグーグルの軌跡と対比して、もっと想像したくない、触れたくないのが一部の日本の「IT企業」のあり方です。ライブドアの堀江たちが逮捕された途端に彼らを叩き始める皆さんもおり、これはこれで決して気持ちのよいものではありません。が、堀江グループは論外として、他のIT企業あるいはネット企業といわれる経営者たちの一部についても、何かニュースを聞くのもいやだなと思う行動が多すぎるのではないでしょうか。
資本主義のルールの中で「ネットと放送の融合」を狙ってテレビ局を買収しようとすることは悪いことでありません。宣伝のためにプロ野球球団を買うのもいい。でも、どうせやるならもっとちゃんとやってほしい、と思います。インターネットを旗印にするならもっともっと技術やアイデアを磨いてほしい。ネットと放送の融合をいうのであれば、本業であるIT業務でしっかり成果をあげた上でTV局自身が吸い寄せられるような大きな構想、魅力あるビジネスモデルを示してほしい。ルール破りすれすれのことをやって合併を迫り、とってつけたようなドキュメントを発表したりしないでほしい。
こういうのはインターネット企業ではないだろう、日本語というあるかなきかの情報障壁に守られてマネーゲームをやっているだけだと思います。若い皆さんには、こうした悪弊にとらわれることなく、真に新しい技術、ユニークなビジネスモデルを創造して、世界に羽ばたく日本発のインターネット企業をつくり出してほしい、挑戦してほしいと思います。
と、まあ、私も言いたい放題ではありますが、どうぞお許しを。これは私の個人日記です。
【原著】The Search by Jhon Battele(2005/5)
【邦題】ザ・サーチ グーグルが世界を変えた ジョン・バッテル(2006/11)
【写真】鳥の雛たちの成長は実に早い、先に紹介したシジュウカラの巣立ちのわずか10日前にはまだ眼も開かない雛たちだった(2005年5月7日、たろパパ写す)
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