火曜日, 2月 14, 2006

バタフライ効果をねらう?


 申し遅れましたが、たろパパの職業はコンサルタントです。この「コンサルタント」というのはとくに日本では実に怪しくかつ説明困難な仕事で、僕も人に聞かれた時は、「あ、いや、シンクタンクの研究員です」とか適当に誤魔化す場合もあります(別に嘘をつく訳ではないし)。で、私がコンサルタントになれたのは、ある日『コンサルタントの秘密』(G・M・ワインバーグ著、1990年共立出版)という本を読んだからです。ついでに言うと、この超便利な虎の巻を一度読めばだいたいの方は「私の職業はコンサルタントです」と言うことができるようになります。もちろんそれで喰うに足るだけの仕事をつかめるかどうかは(言うまでもなく)努力次第ですが。ところで、ワインバーグ先生は、私の知り合いの優秀なプログラマに言わせると「神の領域の人」だそうで、1970年代の名著『プログラミングの心理学』は、当時のコンピュータ・オタク連のバイブルだったとか。
 話がちょっと寄り道しましたが、この『コンサルタントの秘密』にはそれはもうたくさんの真理中の真理ともいうべき「○○の法則」や「××の原理」というのが詰まっておりまして、僕がみるところ、その中でももっとも重要なもののひとつが「プレスコットのピックルス原理」というやつです。実はこの虎の巻の内容をバラすことは(例えその一部であっても)ワインバーグ先生から堅く禁じられていて、このピックルス原理についても職業倫理上これ以上具体的には書きたくないのですが、絶対にこの場だけに限定した話として書くことにします。それは「大きなシステムを、長期にわたる継続的接触を通じて変えようとする小さなシステムは、むしろ自分の方が変えられてしまう可能性が高い」というものです。
 僕も若い時代には「世の中変えてやる!」とまさに畑から採れたてのキュウリのように元気だったのですが、いやもうすっかりほど良く漬かったピックルスになってしまいました。ただ、そうは言っても若い時分の夢や志向、そしてそれをねじ曲げられたか漬かったかして貫くことができなかった無念は消えるものでもありません。歴史はさまざまな矛盾に満ちていて、あの当時、力づくで変えようとしても変わらなかったものが、今や変えようとする者もなくなった時代に自壊しようとしています。
 まあ、そのようなことで、「進取気鋭の言論」は難しいけれども、気長にバタフライ効果をねらって書き続けようというのが僕の考えです。人生は短いけれども、取り組むべきことはまだまだたくさんあるのですから。

【写真】集団登校のようす。実際にみてみると、集団登校というイメージとはちょっと違う。子どもたちがぞろぞろと井戸端会議しながら行く。今日のテーマは「僕たちひとりひとりの誰はどのポケモンキャラにふさわしいか」でした。