火曜日, 8月 29, 2006

いじめに有効な方策を

今日の朝日新聞、日経新聞は、共に1面コラムで今治市の中学1年生が首吊り自殺した問題をとりあげています。天声人語は「言葉が、取り返しのつかない悲劇を招かないよう、心したい」、春秋は「残された言葉を忘れてはならない」と、それぞれコラムを結んでいますが、一般社会への戒めとしてはともかく、教師や親にとってはあまりにも具体性のない空しい呼びかけに聞こえるのではないでしょうか。

【写真】ババ抜き(2006.8.23 踊り子号で)

その意味で、デンマーク在住の高田ケラー有子さんがJMMメルマガで紹介された「五者面談」のような取り組みが本格的に導入されるべきではないかと強く感じます。以下、かなり長くなりますが、引用します(『平らな国デンマーク/子育ての現場から』第27回「五者面談」 JMMメルマガ 2005年5月25日発行より ・・・は省略部分)

・・・そのかわり、半年に一度保護者との面談があるのですが、学年末のゼロ年生の面談は、三者ではなく、担任の先生と来年度の担任、そして生徒とその両親の五者面談という形でした。もちろん、両親共に参加できない場合は四者面談となるわけですが、息子のクラスではそのほとんどが両親共に出席する五者面談だったようです。
・・・この五者面談、前もってA4の紙面に書かれた質問25項目を、息子にしておき、それをもとに面談がなされるのですが、担任も同じ質問を、前もって生徒にしており、家庭でも同じ質問をしておいてさらに面談の場でどうした回答が出てくるか確認しながら進めて行くものでした。質問の内容は、学校は楽しいですか? というようなことから始まり、誰と一番よく遊ぶか、学校で何をするのが楽しいか、また楽しくないことは何か、学校で遊ぶ時間は十分にあるか(勉強する時間が十分か、とは聞かないところがゼロ年生ならではです)などなど続きます。また、お片づけはきちんとしているか、誰かが何かをしている時に邪魔をしたりするか、というような質問もある中で、とても重要な項目として、「からかわれたことはあるか?」また「他の子をからかったことがあるか?」と言う項目があり、「からかわれたことがある」と回答すると、それは誰か、またどんなふうにからかわれたのか、そのときどうしたか、またどうするのがいいと思うか、など担任の質問は続きます。学校でからかわれたのか、それとも学童でからかわれたのか、また他にはないかなど、かなり突っ込んで聞いてくれる中で、息子は同じクラスでも学年でもなく、2年生にからかわれたことがある、と回答したのですが(私たちももちろん把握しておりましたが)、大人に話すことが大切であることと、話を聞いてくれる大人がいることをしっかり感じ取っていたようです。
 こうした、あえて言うならいじめ情報は、担任同士の連携がしっかりしていることもあって、からかったという子供の名前は必ずその担任に知らせられ、注意を払うようにしてくれるようです。学校の中ではそうしたことをしていない子でも学童でしているケースも多いようで、そうした子供が抱える気持ちの問題を、うまく聞き出しつつ、からかう方の子供に対するケアも大切にするようです。大人(先生という言い方をせず、大人、と言う表現をしています)の目がいつもあることと、表面的には見えないことも、こうした面談から聞き出し、また連携を取ってケアする、ということで、からかうという行為が大きないじめにつながらないように配慮しているようです。(引用はここまで)

デンマークなど北欧諸国の小中学校教育については、この高田ケラー有子さんのレポートでも詳しく紹介されているとおり、日本の学校教育とは基本理念から教師と子どもの具体的関係まで大きく異なり、形だけ真似をすることは難しいかもしれません。しかしながら、デンマークでも公教育が導入された当時から現代のようなコミュニケーション・ベースの教育ではなかったといいます。いじめ対策を大切な目標の一部としながら、そこに留まらない教育の原理的な変革にむけて、いっそうの努力を集中すべき時だと思います。子どもたちが死を選ぶたびに「いじめをなくす」と何度唱えても無力であることは間違いありません。

※明日から検査入院のため、今週末まで、たろパパ日記の更新はお休みです。

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